6月6日(日)「晴雨伝説〜お葉縄炎」ライブレポート 〜 千葉曳三
   
押入れの中に作られた壇。その最上段にそれはあった。
この五年間一度も開けられる事のなかった箱。一度は永遠に開かれる事は無い運命を巡りそうになった“彩専”と書かれた半紙で封印された箱・・・。
封印を切り、箱を開ける。“桜吊り”ライブで使った和服の下に数条の麻縄。
それは長年の眠りにかかわらず、かびすら来る事なく、黄金色に輝いている。

まばゆいライトに照らされてステージの真ん中に佇つ彩花、体が小刻みに震えているのは緊張か、亢揚かそれとも・・・。
組んだ手に縄を掛ける。この瞬間、M女彩花は私の元に帰ってきた。
手加減なしにぎゅっと縄を締める。
“長いあいだ、こんなにも長い間、おまえはどこをうろついていたんだい・・”
“考えてました。ずっと迷っていました。でもやはり、ここが私の憩らぐ場所・・ ”
縄と肌が対話する。(比喩ではない。実に言を交わしているのだ。)

私はこのライブを「晴雨伝説〜お葉縄炎」と命題した。そう、この日の主役は晴雨でも私でもなく、彩花、そして裏でその心を操つるお葉さんだ。
縄への、縛りに狂う男への思慕と反撥、そして生活という凡そロマンとはかけ離れた制約、そんな波の中に木の葉のように揺られ続けた五年間だったろう。

横吊りにされ、中空に揺れる女体。
縄が微笑んでいる。彩花の肌がそれに応える。体の重みをすべて受けるきつい食い込みをも、叩きつけられる細竹の痛みも、滴り落ちる蝋の熱さも、いまのおようには快い愛撫になるのか。

石抱き。これは彩花が望んだものだ。
四十キロの石板が二つ、正座した膝上に置かれる。赤い唇が割れ、苦痛の呻きが悲鳴となって洩れる。勿論それを取り卸したりはしない。かえって石上に足を載せ、体重をかけて揺する。肩鞭を打ち当てる。熱蝋を滴らす。

一時間半に及ぶ女体との狂宴。
それは私達にはほんの一瞬に感じられた。虜のダメージを心配したが、驚いたことにそれは縄を受ける以前に増して艶やかになっていた。

縄は再び、箱の中で眠りに就く。次に目覚めるのはいつの日だろうか。

スタッフとして協力してくれたチームドラゴンの皆さん、高橋孝英監督、関根氏、彩乃嬢。
珠玉の亜麻縄を惜しげもなくご提供くださった、神戸の縄屋さん。(nawaya.com)
世界一の鞭作り師、蠍さん。
会場を快くお貸し下さったロフトプラスワンの各位、そして何より悪天にもかかわらずこのライブを見るために足を運んでくださった皆様に、心より御礼申し上げる。

千葉曳三
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